「ある日突然大切なものを失う。」
11年間連れ立ったカレを失った。一緒にいることが当たり前だと持っていた私がいけなかった。自業自得だ。そう思いながらも何時間かカレの姿を求め夜の街を彷徨った。
考えてみればここ数年、カレを繋ぎ止めることはしなかったしその必要もないと思っていた。どこにも行かないだろう、私以外の他の誰のものにもならないだろうという思い込みがあった。初めて出会ったときカレは皆の羨望の的だった。だがカレと同じルックスがありふれるとともにその視線も失せていき、私自身のカレに対する注意深さも失われていった。だからいつの間にか私の中にある種の安心、それは慢心とも言えるし油断とも言えるだろう、が膨らんでいった。
そう思うとカレを失うことは時間の問題だったのだとも思う。悲しいけれど、涙は出てこない。またカレを探し始めるのかもう諦めるのかは明日にならないと分からないが、もう見つからない覚悟は出来ている。
別れは大抵そんなふうに突然やってくる。そんな私と、自転車のおはなし。
( 2004年11月7日「Sigh on the Web」初出 )